「ピアノ・マン/ビリー・ジョエル」 73年 評価3
ビリーの2作目で、事実上、スターへの道を歩み始めることになった作品。
残念ながら、アルバムとしての出来はお世辞にもよいとはいえない。5分をこえる後半盛り上がり系の大作が3曲あるかと思えば、軽いのりの曲もあったりで、アルバムとしてのトータル性が低いし、メリハリもない。ビリーがどこに向かおうとしているのか方向性がはっきりしない。
しかし、1曲1曲のクオリティは決して低くなく、ボーカルも安定してきているし、アルバムとして聴かなければあふれる才能を十分感じることが出来る。このアルバムとしての不出来の責任は、無名(かどうかわからないが、私は知らない)のプロデューサー、マイケル・スチュワートにあろう。ビリーの才能を受け止めるだけの器ではなかったのだろう。事実、フィル・ラモーンに変わった「ストレンジャー」で爆発的ヒットを収める。
ヒット曲で、コンサートでも必ず大合唱になる「ピアノ・マン」は珍しいワルツのテンポで、歌詞も情景が感じられる素晴らしいもので、ビリーを代表する名曲のひとつ。